不眠症
日本では、約10人に1人の割合で不眠症のある人がいると言われています。「眠れる状況はあっても眠れない」ことに加えて、「眠気のために日中の活動に支障がある」といった状態が通常1か月以上続くと不眠症と診断されます。不眠症には、寝つきが悪い入眠障害、寝ている途中で目が覚める中途覚醒、朝早く目覚める早朝覚醒、熟睡した感じがしない熟眠障害の4つのタイプがあり、これらの症状を複数併せもつ患者さんも見られます。
発症しやすい年齢としては、小児期や青年期にはまれですが、20~30歳代に始まり加齢とともに増加し、中年、老年と急激に増加します。また、男性よりも女性に多いといわれています。
具体的な4つのタイプ
①入眠障害:床についてもなかなか(30分~1時間以上)眠りにつけない。
②中途覚醒:いったん眠りについても、翌朝起床するまでの間、夜中に何度も目が覚める
③早朝覚醒:希望する時刻、あるいは通常の2時間以上前に目が覚め、その後眠れない
④熟眠障害:眠りが浅く、睡眠時間のわりに熟睡した感じが得られない
不眠症の主な原因
①環境:時差がある場所、枕が変わる、また暑さや騒音、明るさなどの影響など
②身体:年齢、性差、頻尿、痛み、かゆみ、極度の肉体的疲労、睡眠時無呼吸症候群など
③こころ:悩みやイライラ、極度の緊張からの精神的ストレス、睡眠に対するこだわりなど
④生活習慣:アルコール、ニコチン、カフェインの摂取、薬の副作用、運動不足など
不眠症の治療・対策
不眠症の治療の際、まずは睡眠衛生指導を行います。睡眠衛生指導とは、快適な眠りを阻害する状況を減らす治療法で、①寝室を暗く静かにする、②眠る4時間ぐらい前からカフェインをとらない、③眠る前には明るい光を避ける、④眠くなってから寝床に行く、⑤入浴や運動で体温を少し上げ、その後体温が下がるタイミングで寝床に就くなど生活の中で改善できることから、行っていただきます。
そしてカイロプラクティックの治療として、まず自律神経の調整を行います。おそらく交感神経が高ぶって眠るときに優位になるはずの副交感神経が機能していないと思われます。
それから睡眠物質の一つ「メラトニン」というホルモンを分泌する松果体のある蝶形骨のチェック・調整を行います。
5回の治療で改善が見られない場合は、病院を受診いただき薬物療法と併用して不眠症の改善を計るようにします。薬物療法には漢方薬やハーブなども医師に相談されると良いでしょう。